ブログ番組「クラシック名曲アルバム」

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2009年元日開局。Youtubeにあるクラシック音楽の動画・録音を紹介。1日1曲、短くて聴きやすい名曲をお楽しみ下さい。

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カテゴリ:ドイツ歌曲( 22 )

はすの花(シューマン)

 本日は、ドイツ歌曲「はすの花」(Die Lotosblume)をお送りします。

 ドイツのロマン派音楽を代表する作曲家、ロベルト・アレクサンダー・シューマン(Robert Alexander Schumann, 1810-1856)の作品です。シューマンは妻クララと結婚する前まではピアノ曲ばかりを作曲していましたが、結婚した1840年には歌曲に熱中し、「詩人の恋」「リーダークライス」などの代表的な歌曲集を続々と作曲しました。
 歌曲集「ミルテの花」(Myrthen)もこの頃の作品で、全26曲から成り、第7曲が「はすの花」です。歌詞はハイネの詩から採られ、愛と夢に満ちた美しい曲です。
Die Lotusblume ängstigt      はすの花はおそれている
Sich vor der Sonne Pracht,    照り輝く陽の光を
Und mit gesenktem Haupte    そしてうなじを垂れたまま
Erwartet sie träumend die Nacht. 夜の訪れを夢見ている。

Der Mond, der ist ihr Buhle       月ははすの愛する恋人
Er weckt sie mit seinem Licht,     はすは月の光で眼を覚ます
Und ihm entschleiert sie freundlich  そしてはじめてその素顔を
Ihr frommes Blumengesicht.      月に開いてみせる

Sie blüht und glüht und leuchtet,   はすは咲き出で、色づき、かがやきを増し
Und starret stumm in die Höh’;    黙って月を見つめている。
Sie duftet und weinet und zittert   香りを放ち、身を震わせてむせび泣く
Vor Liebe und Liebesweh.       愛するあまり、片思いのあまり。
 映像は、バス(男声の最低音域)歌手のJason Hardyによる歌唱です。録音の音質に若干難がありますが、最低音域の深みある響きが美しい歌唱です。

 

【おすすめCD】
 シューマン:歌曲集 詩人の恋
 20世紀を代表するドイツ歌曲の歌い手、ディートリッヒ・フィッシャー=ディースカウのアルバム。シューマンの代表的な歌曲集「詩人の恋」「リーダークライス」「ミルテの花」の曲を収録。「ミルテの花」からは、「はすの花」ほか「献呈」「自由な心」「くるみの木」などの代表作が選ばれている。
【おすすめ楽譜】
 シューマン歌曲集(2) (中声用)
 シューマンの歌曲集「リーダークライス」「ミルテの花」の曲を収録。全音楽譜出版社刊。

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by asapykadan | 2013-05-25 13:11 | ドイツ歌曲
 歌曲集「美しき水車小屋の娘」(Die schone Mullerin)は、オーストリアの作曲家で優れたドイツ歌曲を多く遺し「歌曲の王」と呼ばれるフランツ・シューベルト(Franz Schubert、1797-1828)の作品です。「冬の旅」「白鳥の歌」と並んで、「シューベルト3大歌曲集」の一つと称されています。

 ヴィルヘルム・ミュラーの詩に作曲され、全20曲から成ります。作品全体のあらすじは下記のようなものです。
 水車屋(製粉業者)の親方になるための修業に出た若者が、小川の導くままにある水車小屋にたどりつく。そこで美しい娘に出会って激しい恋心を抱き、一時は娘の心を得そうになるが、狩人が出現して娘を奪われ、若者は傷心のあまり小川に身を投じる。

 「美しき水車小屋の娘」を作曲した1823年頃、シューベルトは病気が出始め、経済的にも不安定になり、友人との離別もありました。そのような心情を反映してか、希望に満ちあふれて旅に出た若者が恋によって次第に変化してゆく姿を描いた「青春の哀歌」とでも言うべき作品です。

 なお、この作品は友人のテノール歌手シェーンシュタイン男爵に献呈されており、テノールで歌われるための歌曲です。

 本日は全20曲のうち、第1曲「さすらい」(Der Wandern)をお送りします。主人公の若者がまだ希望に満ちあふれていた物語の冒頭の歌で、穏やかで軽やかな曲です。
Das Wandern ist des Mullers Lust,    さすらいは水車屋の喜びだ、
Das Wandern!                   さすらいは!
Das muss ein schlechter Muller sein,  何て哀れな水車屋だろう、
Dem niemals fiel das Wandern ein,   さすらいを思わぬ水車屋なんて・・・
Das Wandern.                   さすらいを。

  
Vom Wasser haben wir's gelernt,     ぼくたちは水の流れから学んだのだ
Vom Wasser!                    水の流れから!
Das hat nicht Rast bei Tag und Nacht,  流れは昼も夜も、休みなしに
Ist stets auf Wanderschaft bedacht,   遍歴の旅だけを考えている、
Das Wasser.                     水の流れは。

Das sehn wir auch den Radern ab,    僕たちは水車からも教えられた、
Den Radern!                     水車からも!
Die gar nicht gerne stille stehn,       水車はじっとしてるのが大嫌いで
Die sich mein Tag nicht mude drehn,   毎日飽きることなく回っている、
Die Rader.                       水車は。

Die Steine selbst, so schwer sie sind,   あんなに重い石臼でさえも、
Die Steine!                       石臼でさえも!
Sie tanzen mit den muntern Reihn    石臼でさえも陽気な輪舞を踊って
Und wollen gar noch schneller sein,    絶えず一層早く動きたがっている、
Die Steine.                      石臼でさえも。

O Wandern, Wandern, meine Lust,    おお、さすらい、さすらいよ、僕の喜びよ、
O Wandern!                     おお、さすらいよ!
Herr Meister und Frau Meisterin,     主人よ、おかみさんよ、僕に構わないで
Lasst mich in Frieden weiter ziehn    僕を旅に出させて下さい
Und wandern.                   さすらいの旅に。

 映像は、英国のテノール歌手ピーター・ピアーズ(Sir Peter Pears, 1910-1986)による歌唱の録音です。歯切れの良い歌いぶりです。

  
【おすすめ!】
 シューベルト:美しき水車小屋の娘(試聴可能)
 哲学と歴史の博士号を持つ英国の俊英テノール歌手、イアン・ボストリッジによる全20曲の歌唱を収録したCD。ピアノ伴奏は日本人の内田光子。歌も素晴らしいが、ピアノも思わず聴き入ってしまう傑作録音。
 最新世界名歌曲選集 シューベルト歌曲集 美しき水車小屋の娘 (最新・世界名歌曲選集)
 全20曲を掲載した楽譜。A4判。曲目解説、原詩と対訳付き。

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by asapykadan | 2012-04-28 23:22 | ドイツ歌曲
 「白鳥の歌」(Schwanengesang)は、「歌曲王」と呼ばれるオーストリアの作曲家、フランツ・シューベルト(Franz Schubert、1797-1828)の歌曲集です。「美しき水車小屋の娘」「冬の旅」と並ぶシューベルトの三大歌曲集の1つですが、他の2つと違い、この「白鳥の歌」は彼の死後に出版社によって編集されたもので、物語的な一貫性・連続性はありません。「白鳥の歌」という題名も、出版者のハースリンガーが「白鳥は死ぬ時ひときわ美しく鳴く」という言い伝えから命名したものです。

 「白鳥の歌」は、レルシュタープ、ハイネ、ザイドルの3詩人による下記14曲から構成されています。いずれも彼の没年である1828年に作曲されました。
《レルシュタープの詩による曲》
 (1)愛の使い(Liebesbotschaft)
 (2)戦士の予感(Kriegers Ahnung)
 (3)春の憧れ(Frühlingssehnsucht)
 (4)セレナーデ(Ständchen)
《ハイネの詩による曲》
 (5)すみか(Aufenthalt)
 (6)遠い地にて(In der Ferne)
 (7)別れ(Abschied)
 (8)アトラス(Der Atlas)
 (9)彼女の肖像(Ihr Bild)
 (10)漁師の娘(Das Fischermädchen)
 (11)都会(Die Stadt)
 (12)海辺にて(Am Meer)
 (13)影法師(Der Doppelgänger)
《ザイドルの詩による曲》
 (14)鳩の使い(Die Taubenpost)

 これらの詩はいずれも「愛」を主題としていますが、「冬の旅」のような失恋による絶望ではなく、恋人の不在による自己の喪失感が意識されています。「冬の旅」が地理的にさすらうのに対し、「白鳥の歌」は内面的なさすらいが表現されます。

 本日はこの中から、第4曲「セレナーデ」(Ständchen)をお送りします。シューベルトの歌曲の中で最も有名なものの一つです。美しい旋律で恋人に対する切々たる思いを歌いあげます。マンドリンを模した伴奏も印象的です。
Leise flehen meine Lieder
Durch die Nacht zu dir;
In den stillen Hain hernieder,
Liebchen, komm zu mir!
 僕の願いをそっと歌に託して
 夜の静寂の中をあなたに届かせる
 静かなこの林の中へ降りてきてほしい、
 愛する人よ、ぼくと一緒になって!
Flüsternd schlanke Wipfel rauschen
In des Mondes Licht,
Des Verräters feindlich Lauschen
Fürchte, Holde, nicht!
 細い梢の先がささやくように
 月明かりの中で揺れている、
 誰か聞き耳を立てていやしないかと
 可愛い人よ、恐れることはない

(以下原詩略)
 ナイチンゲール(ウグイスの一種)の歌声が聞こえるね
 ああ!ナイチンゲールも求めている
 甘い切ない歌声を響かせながら
 僕に代って君を求めているのだ

 ナイチンゲールにも分かるのだ
 胸にうずく憧れを、愛の苦しみを。
 そして銀鈴をふるわすような声で
 心優しい人たちの琴線に触れてくる

 あなたも心をもっと開いてほしい
 愛する人よ、僕に耳を傾けて!
 身の震える思いで待っているのだから
 さあおいで、そして僕を幸せにして!

 映像は、ドイツのテノール歌手ペーター・シュライアー(Peter Schreier, 1935 - )による歌唱の録音です。

  

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【おすすめCD】
 シューベルト:白鳥の歌(試聴可能)
 録音史上最も傑出した歌手とされるドイツのバリトン、ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(Dietrich Fischer-Dieskau, 1925-)による「白鳥の歌」全14曲の歌唱を収録。
 ザ・ベスト・オブ・シューベルト(試聴可能)
 ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウによる、シューベルト歌曲の歌唱を収録。「白鳥の歌」より“セレナーデ”ほか、「冬の旅」より“菩提樹”、「野ばら」「鱒」など有名曲を全22曲。

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by asapykadan | 2011-02-26 14:44 | ドイツ歌曲
 アントニン・ドヴォルザーク(Antonín Dvořák、1841-1904)は、チェコの国民楽派を代表する作曲家であり、クラシック音楽史上屈指の人気作曲家でもあります。ブラームスに才能を見出され、「スラブ舞曲集」(1878年作)で一躍人気作曲家となりました。代表作には、交響曲第9番「新世界より」、チェロ協奏曲、弦楽四重奏曲第12番「アメリカ」などがあります。

 本日は、彼の歌曲作品「わが母の教え給いし歌」(Als die alte Mutter)をお送りします。
 この曲は1880年、彼が39歳の時の作品です。全7曲から成る歌曲集「ジプシーの歌」(Op.55)の第4曲です。ボヘミアの抒情詩人アドルフ・ヘイドゥークのチェコ語の詩をドヴォルザーク自身がドイツ語訳して曲をつけました。
 スラヴ的な旋律を持ち、歌と伴奏がよく調和した美しい作品です。歌の内容も「かつて母が教えてくれた歌を、今自分の子供に教える」という、万国共通に共感される平易なものです。そのため、彼の歌曲中で最も広く親しまれており、主にソプラノ歌手によって歌われています。
 元は下記の歌詞によるドイツ歌曲ですが、“Songs My Mother Taught Me…”で始まる英語詞でも良く歌われています。
Als die alte Mutter      母の教えてくれた歌は
Mich noch lehrte singen    遠い昔の日
Tränen in den Wimpern    母のまぶたには
Gar so oft ihr hingen     涙が消えることがなかった

Jetzt wo ich die Kleinen       今、私は子供らに教える
Selber üb'im Sange         その節の一つ一つを
Rieselt's mir von Auge        すると涙があふれる
Rieselt's oft mir auf die braune Wange! 私の懐かしい思い出に

 映像は、スペインのソプラノ歌手ビクトリア・デ・ロス・アンヘレス(Victoria de los Angeles, 1923-2005)による、ドイツ語詞の歌唱の録音です。

  

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【おすすめ!】
 我が母の教え給いし歌(試聴可能)
 チェコ出身のメゾソプラノ歌手マグダレーナ・コジェナー(Magdalena Kožená', 1973-)によるCDアルバム。チェコ語詞による「わが母の教え給いし歌」など34曲を収録。
 ねむの木の子守歌(試聴可能)
 日本のソプラノ歌手・鮫島有美子のCDアルバム。ドイツ語詞による「わが母の教え給いし歌」ほか、日本歌曲「ゆりかご」「こもりうた」「この道」など、全22曲を収録。
 最新世界名歌曲選集 外国歌曲名歌集 (原調版) (最新・世界名歌曲選集)
 スペイン歌曲、東欧・ロシア歌曲、イギリス歌曲、アメリカ歌曲の有名な歌曲を収録した楽譜。「我が母の教え給いし歌」ほか、「ただあこがれを知る者だけが」「主人は冷たい土の下に」など36曲。曲目解説と対訳付き。

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by asapykadan | 2010-12-07 22:04 | ドイツ歌曲
 本日は、ドイツ歌曲「クローエに」(An Chloë、K.524)をお送りします。

 オーストリアの作曲家ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(Wolfgang Amadeus Mozart、1756- 1791)の作品です。1787年6月に、もう1曲の有名な歌曲「夕べの想い」(Abendempfindung、K.523)と2作同時に書かれました。
 原詩は、ドイツの詩人ヨハン・ゲオルク・ヤコービ(Johann Georg Jacobi、1740-1814)の作です。元は13連の長詩でしたが、モーツァルトはそのうち4節までを用いて歌曲に仕上げました。「クローエ」とはドイツ語の女性の名前です。相当情熱的な若者の恋を歌う詩ですが、明るく優美な曲がつけられました。
Wenn die Lieb' aus deinen blauen,   恋が、君の青い
Hellen, offnen Augen sieht,        明るい大きな眼に浮かび
Und vor Lust hinein zu schauen     その眼を覗きたくて
Mir's im Herzen klopft und glüht;   僕の胸が高鳴り燃える時。

Und ich halte dich und küße     僕は君をつかまえ
Deine Rosenwangen warm,     温かいバラ色の頬にキスする
Liebes Mädchen, und ich schließe 可愛い君よ、僕は震えながら
Zitternd dich in meinem Arm,    君を腕の中に抱きしめる

Mädchen und ich drücke dich    可愛い君よ、僕の胸に
An meinen Busen fest,         固く抱きしめる
Der im letzten Augenblicke      そして最後の瞬間の
Sterbend nur dich von sich läßt;  その時まではもう放さない。

Den berauschten Blick umschattet    その時はもう眼もかすみ
Eine düstre Wolke mir,             暗い雲に包まれて
Und ich sitze dann ermattet,        すっかり衰えているものの
Aber selig neben dir.              君の傍で幸福にしていよう。

 映像は1962年のもので、ヨーロッパを中心に活動したアメリカ出身のソプラノ歌手テレサ・スティッチ=ランドール(Teresa Stich-Randall、1927–2007)による歌唱です。

  
  
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【おすすめCD】
 春への憧れ~モーツァルト:歌曲集(試聴可能)
 アメリカのリリック・ソプラノ歌手バーバラ・ボニー(Barbara Bonney, 1956-)のアルバム。「クローエに」「夕べの想い」など、モーツァルトの有名歌曲を22曲収録。
 モーツァルト:歌曲集(試聴可能)
 20世紀最高のドイツのソプラノ歌手、エリーザベト・シュヴァルツコップ(Elisabeth Schwarzkopf, 1915-2006)の歌唱17曲を収録。
 モーツァルト:歌曲集(試聴可能)
 20世紀後半最高のリリック・テノールの1人であるペーター・シュライアー(Peter Schreier, 1935- )の歌唱16曲を収録。
【おすすめ楽譜】
 最新世界名歌曲選集 ドイツ歌曲名歌集(1) (原調版) (最新・世界名歌曲選集)
 ドイツ歌曲の初学者向け名歌集。古典派のモーツァルトからロマン派のシューベルト、シューマン、ブラームスなど、近代・現代のR.シュトラウスまで時代を追って選曲。「クローエに」ほか、「野ばら」「シルヴィアに」「ブラームスの子守歌」などを収録。

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by asapykadan | 2010-09-28 21:52 | ドイツ歌曲
 アルバン・ベルク(Alban Berg, 1885-1935)はオーストリアの作曲家です。オクターブ内の12の音を均等に使用することにより調の束縛から離れる「十二音技法」を創始した作曲家シェーンベルクの弟子として、同技法による前衛的な作品を多く残しました。有名な作品には、歌劇「ルル」(1928年作、未完)や「ヴァイオリン協奏曲」 (1935年作) などがあります。

 ベルクは歌曲を生涯に83曲作りましたが、そのほとんどは初期の作品です。また、生前に発表されたのは十数曲のみで、残りの多くの曲は生誕100年の1985年以降に初めて出版・録音されました。
 「7つの初期の歌」(Sieben frühe Lieder)は、生前に出版された数少ない歌曲集の1つであり、ベルク自身が出版に値すると考えた自信作と思われます。1905~08年にかけて別々の詩人の詞に作曲したもので、後期ロマン派の影響の濃い作品です。
 本日は全7曲のうち、第4曲の「室内にて」(Im Zimmer)をお送りします。声とピアノが歩調をそろえて歌い出す、簡素な小品です。難解な曲の多いベルク作品の中で、音楽の初心者にも比較的聴きやすい曲です。詞はドイツの自然主義文学の作家、ヨハネス・シュラーフの作。
Herbstsonnenschein.               秋の日差し
Der liebe Abend blickt so still herein.    好ましい日暮れが静かに覗き込む。
Ein Feuerlein rot                  ストーブの中では赤い小さな炎が
knistert im Ofenloch und loht.        パチパチ音を立てて燃えている。
So, Mein Kopf auf deinen Knie'n       こうして、私の頭をあなたの膝に乗せて
so ist mir gut,                  私はとてもいい気持ちだ
wenn mein Auge so in deinem ruht,   私の眼があなたの眼の中に安らう時、
wie leise die Minuten zieh'n.      一刻一刻がなんとひっそりと過ぎてゆくのだろう。

 映像は、スウェーデン人の・メゾソプラノ歌手アンネ=ゾフィー・フォン・オッター(Anne-Sofie von Otter, 1955-)による歌唱の録音です。

 

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【おすすめCD】
 ベルク:初期の7つの歌(試聴可能)
 アンネ=ゾフィー・フォン・オッターによる「7つの初期の歌」歌唱を収録。アバド指揮、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団。
 ベルク:7つの初期の歌・アルテ
 アメリカのソプラノ歌手ジェシー・ノーマン(Jessye Norman, 1945-)による歌唱。「7つの初期の歌」「私の眼を閉じてください」などを収録。

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by asapykadan | 2010-01-09 22:00 | ドイツ歌曲
 「冬の旅」(Winterreise)D911, Op.89は、オーストリアの“歌曲王”フランツ・シューベルト(Franz Schubert, 1797-1828)が31歳で世を去る前の年、1827年に作曲した連作歌曲集です。歌詞はドイツの詩人ヴィルヘルム・ミュラーの詩集によるもので、全2部計24曲で構成されています。
 全曲を通じて歌われているのは、失恋して絶望した若者が、あてもなく続けるさすらいの旅において出会う、凍てついた冬の荒涼たる心象風景です。

 2009年2月28日記事では、第2部冒頭の曲「郵便馬車」(Die Post)をご紹介しました。本日は、第1部冒頭の曲「おやすみ」(Gute Nacht)をお送りします。
 「冬の旅」の物語が、出会いでなく別離から始まります。失恋した若者は、冬の夜、恋人の住む町から去っていきます。恋人の家の扉に「おやすみ」と書き残し、旅に出ます。
Fremd bin ich eingezogen,   よそ者として私はやってきて 
Fremd zieh' ich wieder aus.   よそ者として私はまた出て行く
Der Mai war mir gewogen    五月は私に好意を寄せた
Mit manchem Blumenstrauß.  たくさんの花束で
Das Mädchen sprach von Liebe,  あの娘は愛を語り
Die Mutter gar von Eh', -     娘の母は結婚のことさえ口にした
Nun ist die Welt so trübe,     今この世はこんなにうら悲しく
Der Weg gehüllt in Schnee・・・.  道は雪に覆われている

(以下原詞略)
 私は自分の旅立ちの
 時期など選んでいられない
 自分で道を探して行かねばならない
 こんな暗闇の中を
 月影が付き添う
 私の道連れとして
 そして白い野原の上に
 私は獣の足跡を追う

 何で私は長々留まることがあろう
 人が私を追い立てるまで?
 狂った犬どもは吠えさせたらいい
 飼い主の家の前で、
 愛は移ろいが好き
 神がそう創られたのだ
 ある人から他の人へと
 愛しい人よ、おやすみ!

 お前の夢を乱したくない
 お前の安息を妨げたら悪いから
 お前に私の足音が聞こえないように
 そっと、そっと、戸を閉めよう!
 通りがかりに書き付ける
 お前の戸口に「おやすみ」と
 お前に分かるように
 私がお前のことを思っていたことが

 映像は、録音史上最も傑出した歌手とされるドイツのバリトン歌手、ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ (Dietrich Fischer-Dieskau, 1925-)による歌唱の録音です。

 
【おすすめ!】
 シューベルト:歌曲集《冬の旅》(試聴可能)
 ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウによる「冬の旅」全曲録音を収録したCD。
 ベーレンライター原典版 シューベルト歌曲集(2)冬の旅 高声用(原調) (シュ-ベルト歌曲集)
 「冬の旅」全曲収録の楽譜。

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by asapykadan | 2009-11-21 21:32 | ドイツ歌曲
 フェリックス・メンデルスゾーン(Felix Mendelssohn, 1809-1847)は、ドイツ・ロマン派の作曲家です。ドイツ・ハンブルクの富裕な銀行家の一族に生まれました。一家はユダヤ人でしたが、彼の生後にプロテスタントのルター派に改宗しています。
 幼時より音楽的才能を発揮し、17歳で早くも代表作の1つ「弦楽八重奏曲 変ホ長調」(作品20)を作曲しました。短い生涯の間に、劇付随音楽「真夏の夜の夢」をはじめ、5つの交響曲や室内楽曲、ピアノやバイオリンの協奏曲、声楽曲など、非常に多彩な作品を遺しました。
 富裕でありながらプロテスタント的な勤勉を是とする家庭に育った彼の作風は、古典的形式を尊重してさらに洗練していく一方、ロマン的な詩趣も併せ持ったものとなっています。
 作曲以外の重要な業績としては、それまで独立していなかった指揮者という職務を独立させ、指揮法を確立したことが挙げられます。また、当時すでに忘れ去られていた「音楽の父」J.S.バッハの作品を発掘して頻繁に演奏し、その価値を人々に広く知らしめました。

 本日は彼の膨大な作品群の中から、歌曲「歌の翼に」(Auf Flügeln des Gesanges)をお送りします。1836年に作曲された歌曲集「6つの歌」(作品34)の第2曲です。
 メンデルスゾーンは生涯に79曲の独唱歌曲と18曲の重唱を作曲しましたが、この曲が最もよく知られています。詞はドイツの詩人・ハイネの作品で、19世紀の異国趣味を反映しています。曲は美しく静かなメロディーで、ロマンティックなムードに溢れています。
Auf Flügeln des Gesanges,
Herzliebchen, trag ich dich fort,
Fort nach den Fluren des Ganges,
Dort weiß ich den schönsten Ort.
 歌の翼にのせて
 恋人よ、きみを連れて行こう
 遠くガンジス川のほとりまで
 そこにはとても素敵な場所があるのだ。
Dort liegt ein rotblühender Garten
Im stillen Mondenschein;
Die Lotosblumen erwarten
Ihr trautes Schwesterlein.
 その花園にはあかく燃える花々が
 静かな月の光の中で咲き誇っている
 はすの花がきみを待っているのだ
 そのなつかしい妹であるきみを
(以下原詞略)
 すみれはくすくす笑ったり、ふざけあったり、
 また夜の星々を見上げたりしている
 ばらはひそかに語り合っている
 おとぎ話を香りにのせて

 するとカモシカが跳びはねてきて
 おとなしく、かしこそうに耳をそばだてる
 そして遠くにせせらぎの音が聞こえる。
 聖なる河の流れる音が

 あそこへ行って腰を下ろそう
 あの棕櫚の木陰に
 そして愛と憩いに身をゆだね、美しい夢を見よう。

 映像は、ドイツのテノール歌手、ペーター・シュライアー(Peter Schreier, 1935-)による歌唱の録音です。

 

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【おすすめCD】
 歌の翼に/世界の名歌集(試聴可能)
 ヘンデルの「オンブラ・マイ・フ」をはじめ、「歌の翼に」「シューベルトの子守歌」など、有名歌曲を18曲収録。入門者に最適の1枚。
 歌の翼に~メンデルスゾーン:歌曲集(試聴可能)
 シュライアーがメンデルスゾーンの歌曲を歌ったソロCD。「歌の翼に」ほか、「春の歌」「ヴェネツィアのゴンドラの唄」など、全22曲。
【おすすめ楽譜】
 最新世界名歌曲選集 ドイツ歌曲名歌集(1) (原調版) (最新・世界名歌曲選集)
 ドイツ歌曲の初学習者向け独唱用楽譜。古典派のモーツァルトからロマン派のシューベルト、シューマン、ブラームスなど、近代・現代のR.シュトラウスまで時代を追って選曲。「歌の翼に」ほか、「クローエに」「野ばら」など有名歌曲を収録。

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by asapykadan | 2009-10-07 22:15 | ドイツ歌曲
 本日は、ドイツ歌曲「万霊節」(Allerseelen)をお送りします。

 ドイツの後期ロマン派を代表する作曲家、リヒャルト・シュトラウス(Richard Strauss, 1864-1949)の作品です。歌曲集「8つの歌」の第8曲で、男が亡き恋人の墓の前で物思いにふける様子を歌ったものです。歌詞は19世紀オーストリアの詩人ヘルマン・フォン・ギルムの作。

 「万霊節」とは「死者の日」とも呼ばれるキリスト教の祝祭日で、毎年11月2日、全ての死者の魂のために祈りを捧げます。ドイツではこの日、墓に花を飾ります。
Stell auf den Tisch die duftenden Reseden,
Die letzten roten Astern trag herbei,
Und laß uns wieder von der Liebe reden,
Wie einst im Mai.
 テーブルに匂やかな木犀を飾ろう
 最後の赤いアスターもそこに加えよう
 そしてまた愛を語り合おう
 かつての五月のように
Gib mir die Hand,daß ich sie heimlich drücke
Und wenn man's sieht,mir ist es einerlei,
Gib mir nur einen deiner süßen Blicke,
Wie einst im Mai.
 手をこちらに出し、そっと握らせておくれ
 人に見られても気にはしない
 そして美しい眼でじっと見つめておくれ
 かつての五月のように
Es blüht und funkelt heut auf jedem Grabe,
Ein Tag im Jahre ist den Toten frei;
Komm an mein Herz,daß ich dich wieder habe,
Wie einst im Mai.
 今日はどの墓にも匂やかな花が供えてある
 一年に一度、死者がこの世に帰ってくる日
 僕の胸においで、そしてまた抱きしめたい
 かつての五月のように

 映像は、ドイツ・ミュンヘン生まれのテノール歌手ヨナス・カウフマン(Jonas Kaufmann)による歌唱の録音です。

 

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【おすすめCD】
 ロマンス~米良美一世界の名歌をうたう(試聴可能)
 日本のカウンターテナー米良美一のソロCD。R.シュトラウス「万霊節」ほか、「オンブラ・マイ・フ」「アヴェ・マリア」など、西洋歌曲やオペラアリアの名曲を13曲収録。

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by asapykadan | 2009-09-22 13:38 | ドイツ歌曲

隠棲(ヴォルフ)

 フーゴー・ヴォルフ(Hugo Wolf、1860-1903)は、オーストリアの作曲家・音楽評論家です。人一倍感受性が強く、また気難しい性格であったことが災いし、音楽家としての人生は幸福であったとは言えず、経済的にも恵まれませんでした。晩年は精神病院で過ごし、42歳の若さで没しました。
 しかしヴォルフは類い希な才能に恵まれ、優れた歌曲を多く発表して名声を博しました。作曲にあたっては詩を非常に大切にし、「詩の代弁者」として、言葉のアクセントや詩の解釈を正しく表現するよう努めました。

 本日は、彼の代表作の1つ「隠棲」(Verborgenheit)をお送りします。1888年の作で、ドイツのロマン主義詩人エドゥアルト・メーリケ(Eduard Mörike, 1804-1875)の詩に作曲した「メーリケ歌曲集」の、全53曲中12番目の曲です。
 世の人々と関係を絶った隠者の、悲しみや喜びの思いが歌われています。美しく親しみやすい旋律で、ヴォルフの歌曲の中でも特に人気のある一曲です。
Laß, o Welt, o laß mich sein!
Locket nicht mit Liebesgaben,
laßt dies Herz alleines haben
seine Wonne, seine Pein!
 放っておいてくれ、世の人々よ、好きにさせてくれ!
 善意の贈り物などで気を引いてくれるな
 この心を独りにさせてくれ
 喜びにしろ、苦しみにしろ
Was ich traure, weiß ich nicht,
es ist unbekanntes Wehe;
immerdar durch Tränen sehe
ich der Sonne liebes Licht.
 何を悲しむのかわたしにもわからない
 それは故知れぬ心痛なのだ
 わたしは太陽の慈愛の光を
 いつも涙に濡れた眼で見ている
Oft bin ich mir kaum bewußt,
und die helle Freude zücket
durch die schwere, so mich drücket,
Wonniglich in meinen Brust.
 時にはほとんど覚えもなく
 晴れやかな喜びが閃いて
 わたしを苦しめる憂鬱を突き抜け
 この胸に喜びを満たす

 映像は、オーストリアのテノール歌手ウェルナー・ギューラ(Werner Güra, 1971-)による歌唱の録音です。

 

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by asapykadan | 2009-07-26 22:43 | ドイツ歌曲