ブログ番組「クラシック名曲アルバム」

meikyoku.exblog.jp

2009年元日開局。Youtubeにあるクラシック音楽の動画・録音を紹介。1日1曲、短くて聴きやすい名曲をお楽しみ下さい。

ブログトップ

カテゴリ:管弦楽曲( 30 )

 アラム・イリイチ・ハチャトゥリアン(Aram Il'ich Khachaturian、1903-1978)は、グルジア出身のアルメニア人で、ソビエト連邦の作曲家です。貧しい家に生まれたので幼少時に正規の音楽教育を受けられず、18歳まで楽譜も読めませんでした。しかしアルメニア・アゼルバイジャン・グルジアなどカフカス地方の民族音楽に幼いころから親しんだことで音楽性が育まれ、才能を認められて名門モスクワ音楽院に進みました。

 彼の作品は民族色が濃く、またリズム感に溢れ舞曲的な要素にあふれたものです。そこで本日は、彼の代表作であるバレエ音楽「ガイーヌ(Gayaneh、ロシア語の発音では「ガヤネ」)」をご紹介します。
 「ガイーヌ」は、キーロフ・バレエ団からの委嘱作品で、第二次大戦初期の1942年に初演されました。アルメニアのコルホーズ(集団農場)を舞台に、若い女主人公「ガヤネ」を中心とした愛と裏切りと戦争の危機がからみあう作品です。初演の原典版では、大戦中という時代を背景に愛国色の強い内容となっていましたが、戦後の1958年に改定された版では、愛国的な要素を減らしガヤネをめぐる若者二人の友情と葛藤の物語に書き換えられました。

 「ガイーヌ」は、現在ではバレエ作品としての上演よりも、作曲者自身によって編まれた3つの組曲(全21曲)の管弦楽作品としてオーケストラで演奏されることのほうが多くなっています。中でも最も有名な曲が「剣の舞(Sabre Dance、露:Танец с саблями)」です。
 「ガイーヌ」完成当初、この曲は含まれていませんでした。しかし初演の前日になって、「クルド人が剣を持って出陣の舞踏をする場面」を急遽追加することになり、ハチャトゥリアンが徹夜で完成させました。演奏時間2分半ほどの短い曲で、剣を持って踊るのにふさわしい野性的な激しいリズムを、打楽器で効果的に表現しています。
 この「剣の舞」は異常なほどの人気を博し、初演後の数年間、世界で最高の人気曲の地位を保ったといわれます。「作曲家ハチャトゥリアン」の名はこの曲によって後世に残ったといえます。日本でも小学校の教科書に載っていますから、全国民が一度は聴いたことのある曲でしょう。

 2つの映像をご紹介します。
 まずは、オーケストラによる一般的な演奏です。(演奏者不明)
  

 こちらは、バレエ音楽としての上演です。若干の編曲が加えられているようですが、この曲本来の姿がよく分かる映像です。(ロシア国立ワガノワ・バレエ・アカデミー)
  
【おすすめ音源】
 ハチャトゥリャン: 管弦楽作品集 ~剣の舞(視聴可能)
 バレエ組曲「ガイーヌ」より“剣の舞”など4曲のほか、組曲「仮面舞踏会」「スパルタクス」の有名曲を収録したCD。
 剣の舞(視聴可能)
 MP3ダウンロード。ウラジーミル・フェドセーエフ指揮、モスクワ放送交響楽団。
【おすすめ楽譜】
 スコア ハチャトゥリャン 「ガイーヌ」第3組曲 (Zen‐on score)
 「剣の舞」ほか、「クルドの若者たちの踊り」「序奏と長老たちの踊り」など、「ガイーヌ」から6曲を収録したスコア(総譜)。
 ピアノピースー274 剣の舞/ハチャトリアン
 ピアノ独奏用に編曲された楽譜。難易度は「C」。
 PDPー066 剣の舞(連弾)/ハチャトゥリアン
 ピアノ連弾用の楽譜。
【おすすめ書籍】
 剣の舞 ハチャトゥリヤン―師の追憶と足跡
 ハチャトゥリアンに才能を認められ彼の弟子となった作曲家・寺原伸夫の著書。ハチャトゥリアンとの出会い、モスクワ音楽院留学の思い出、ハチャトゥリアンとの対話などが綴られている。

[PR]
by asapykadan | 2013-09-21 23:16 | 管弦楽曲

ボレロ(ラヴェル)

 モーリス・ラヴェル(Maurice Ravel、1875-1937)はバスク系フランス人の作曲家です。パリ音楽院に学び、作曲をガブリエル・フォーレに師事しました。
 一般的にはドビュッシーとともに印象主義の作曲家とされますが、古典主義的な傾向も見られます。ピアノ曲、管弦楽曲、バレエ音楽、歌曲など広範囲なジャンルの作品を遺し、有名な作品には、バレエ音楽「ダフニスとクロエ」「ボレロ」、管弦楽曲「スペイン狂詩曲」、ムソルグスキーのピアノ曲「展覧会の絵」の管弦楽編曲などがあります。
 ラヴェルは生前すでに世界的な作曲家としての地位を確立していましたが、晩年は記憶障害に苦しみ、優れた曲の着想がありながら書き留めることができず、未完・断片に終わってしまったものが多くあります。

 本日は、ラヴェルの最も有名な曲であり、最後のバレエ音楽である「ボレロ」(Boléro)をご紹介します。
 この曲は、舞踏家イダ・ルビンシュタイン女史からの委嘱により作曲されました。当初の委嘱の条件は、スペインの作曲家アルベニスのピアノ曲「イベリア」を管弦楽編曲するというものでしたが、他の作曲家に編曲の権利を取られたため、やむなく一から曲を作り上げました。
 「ボレロ」はスペインの民族舞踏の一つです。4分の3拍子、中庸の速度で、多くはカスタネットでリズムをとります。ラヴェルはこれを、一つの主題とそれに呼応する副主題を一定の速度で、リズムも調性も変化させず、少しずつ音量を上げながら19回繰り返すという、音楽史上稀に見る個性的な作品に仕上げました。
 初演は1928年、イダ・ルビンシュタインのバレエ団によってパリ・オペラ座で行われました。その後、世界中のオーケストラが競って演奏する人気作品となりました。

 映像は、ムーティー指揮、ウィーンフィルハーモニー管弦楽団による演奏の模様です。

 

【おすすめ!】
 ボレロ~ラヴェル:管弦楽曲集(試聴可能)
 「ボレロ」ほか、「スペイン狂詩曲」「ダフニスとクロエ」など、ラヴェルの有名管弦楽曲作品を収録したCD。シャルル・デュトワ指揮、モントリオール交響楽団による演奏。
 ラヴェル:ボレロ(試聴可能)
 MP3ダウンロード。ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団による演奏。
 オイレンブルクスコア ラヴェル ボレロ (オイレンブルク・スコア)
 「ボレロ」のスコア(総譜)。

[PR]
by asapykadan | 2013-07-15 14:08 | 管弦楽曲
 リヒャルト・ワーグナー(Richard Wagner、“ワグナー”“ヴァーグナー”とも表記、1813-1883)は、19世紀ドイツの作曲家・指揮者です。
 旧来の「歌劇」(opera)は序曲、アリア、重唱、合唱、間奏曲がそれぞれ断片として演奏されていましたが、ワーグナーはこの形式を拒み、音楽・詩歌・演劇等を統合して途切れのない一つの音楽作品へと発展させた「楽劇」(Music drama)とよばれる独特の様式を提唱しました。
 さらに、こうした独自様式の、従来のオペラより大規模な自作の楽劇を上演する専門の劇場として、オーケストラ・ピットを舞台の下に押し込めて客席から見えないようにした特異な構造の「バイロイト祝祭劇場」(内部の写真はこちら)を建設しました。ここでは毎年夏にバイロイト音楽祭が催され、ワーグナーの楽劇が上演されます。

 「タンホイザー」(Tannhäuser)は、彼の有名な楽劇作品の1つです。正式な名称は「タンホイザーとヴァルトブルクの歌合戦」(Tannhäuser und der Sängerkrieg auf Wartburg)といい、全3幕から成ります。中世ドイツの複数の伝説を元にしてワーグナーが台本を書き、1845年にドレスデンで初演されました。
【あらすじ】
 舞台は13世紀初めのドイツ中部チューリンゲン地方。騎士で吟遊詩人であるタンホイザーは、愛欲の女神ヴェーヌスが棲む異界ヴェーヌスベルクで快楽の日々を送っていたが、反省して異界を脱出する。
 故郷へ戻ったタンホイザーはヴァルトブルク城で行われた歌合戦に参加するが、そこで官能を称える歌を歌ったため、領主によって追放処分となり、懺悔のためローマへの巡礼の旅に出される。
 しかしローマ教皇に「自分の杖に葉が生えない限り救済できない」と破門を言い渡され、タンホイザーは絶望して故郷へ戻る。
 タンホイザーを愛する領主の娘エリーザベトが自分の命と引き換えに神に許しを乞うたことを知ったタンホイザーは、エリーザベトの亡骸に寄り添って息を引き取る。
 そこへローマからの行列が緑に芽吹く教皇の杖を掲げて到着し、特赦が下りたことを告げる。

 本日は、この楽劇でよく知られている「序曲」をお送りします。楽劇全体の内容を端的に表現しており、単独で演奏されることも多い名曲です。

 映像は、20世紀の最も著名な指揮者の一人であるオーストリア人のヘルベルト・フォン・カラヤン(Herbert von Karajan, 1908-1989年)の指揮による、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏の録音です。

  
【おすすめ!】
 魅惑のオペラ 26 ワーグナー:タンホイザー (小学館DVD BOOK)
 1989年、ジュゼッペ・シノーポリの指揮によりバイロイト祝祭劇場で行われた公演のライブ録画。ワーグナーの孫ヴォルフガング・ワーグナーの演出。対訳・解説本つきのDVD。
 ワーグナー:タンホイザー 全曲(試聴可能)
 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団による全曲演奏のCD。ゲオルグ・ショルティ指揮。
 タンホイザー序曲~ワーグナー:管弦楽曲集(試聴可能)
 「タンホイザー」ほか、「ニュルンベルクのマイスタージンガー」や「さまよえるオランダ人」など、ワーグナー楽劇の序曲を7曲収録したCD。ゲオルグ・ショルティ指揮。
 Tannhäuser: Overture(試聴可能)
 MP3ダウンロード。マリス・ヤンソンス指揮、オスロ・フィルハーモニー管弦楽団。
 スコア ワーグナー 「タンホイザー」序曲 (Zen‐on score)
 「タンホイザー序曲」のスコア(総譜)。

[PR]
by asapykadan | 2012-09-05 18:52 | 管弦楽曲
 ヨハン・シュトラウス2世(Johann Strauss II、1825-1899)は、オーストリアのウィーンで活躍した作曲家です。同じく作曲家だった父親のヨハン・シュトラウス1世(1825-1899)の確立したウィンナ・ワルツをさらに洗練させ、芸術性を盛り込んだ500近いワルツを作曲し、「ワルツ王」と呼ばれました。

 本日は、彼の代表的なワルツ作品である「美しく青きドナウ」(An der schönen blauen Donau)をお送りします。
 
 1866年、オーストリアとプロイセンの間に「普墺戦争」が起こり、オーストリアは大敗し、領土の一部割譲を余儀なくされました(この結果、ドイツ統一はオーストリアを除外してプロイセンを中心に進められることとなります)。
 負傷者を大勢乗せて帰ってくる軍用列車が到着する度に、ウィーン市民は失望の底に沈みました。そのようなウィーン市民を慰めるべく、この曲が作曲されました。
 当初は合唱曲として作曲されましたが、1867年2月の初演では不評に終わりました。半年後、パリ万国博に招かれたシュトラウスはこれを管弦楽曲に編曲して再演、大好評を博しました。この曲とともに、あたかもドナウ川の豊かな流れのように、ウィーンには陽気が戻ってきました。
 このようないきさつから、この曲はオーストリアの第二の国歌とまで呼ばれています。非常に有名で人気が高く、ワルツの代名詞的な曲として広く親しまれています。

 曲は弦楽器のトレモロに乗ってホルンが静かに主題旋律を奏し、ドナウ川の源流(ドナウエッシンゲンにある「ドナウの泉」)と黒い森の情景が描かれます。次第にワルツに発展し、有名な主題部となります。演奏時間は約10分です。

 映像は、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の2011年ニュー・イヤー・コンサートにおける演奏です。指揮者はオーストリア人のフランツ・ウェルザー=メスト(Franz Welser-Möst, 1960- )。

 

※今日の曲が気に入ったら投票!願います。
【おすすめ!】
 ニューイヤー・コンサート2007(試聴可能)
 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の2007年ニュー・イヤー・コンサートのライブ録音。2枚組CDで、「美しく青きドナウ」など19曲を収録。指揮者はインド出身のズービン・メータ。
 美しく青きドナウ~ウィーン・フィル・シュトラウス・コンサート(試聴可能)
 カラヤンら3人の往年の名指揮者たちと、ウィーン・フィルの組み合わせによるウィンナ・ワルツのオムニバスCD。「美しく青きドナウ」「皇帝円舞曲」など、ヨハン・シュトラウス1世&2世の有名ワルツ11曲を収録。
 ヨハン・シュトラウスII世:ワルツ「美しく青きドナウ」 Op.314(試聴可能)
 MP3ダウンロード。スロヴァキア放送交響楽団による演奏。
 OGTー49 ヨハン・シュトラウス 円舞曲「美しく青きドナウ」
 「美しく青きドナウ」の総譜(スコア)。堀内敬三解説。

[PR]
by asapykadan | 2012-03-03 20:58 | 管弦楽曲
 ヤン・シベリウス(Jean Sibelius, 1865-1957)は、スウェーデン系フィンランド人の作曲家です。青年期にはバイオリニストを目指しましたが、後に作曲に転向し、交響曲、交響詩、劇音楽、歌曲など幅広い作品を遺しました。特に全7曲の交響曲と、フィンランドの叙事詩「カレワラ」に基づいた多数の交響詩がよく知られています。

 2009年10月12日記事では、彼の最も有名な交響詩である「フィンランディア」をご紹介しました。本日は、彼の管弦楽作品の一つである組曲「カレリア」(Karelia、フィンランド語:Karjala)をご紹介します。

 「カレリア」とは、フィンランド南東部からロシア北西部にかけての、森林と湖沼の広がる地方の名称です。フィンランドの叙事詩「カレワラ」は、この地方に伝承されていた物語や詩を編纂したものです。いわばフィンランド人の「心の故郷」とも言うべき場所です。
 元々はフィンランドの一地域でしたが、18世紀半ばまでに全て帝政ロシア領となりました。1918年のフィンランド独立により一部をフィンランド領としたものの、第二次大戦によって、再びソ連に奪われてしまいました。ソ連崩壊後に多数の被支配地域で分離独立の動きが盛んになりましたが、すでに大幅にスラブ化されてしまったカレリアは、もはやフィンランドの伝承文化の宝庫としての役割は期待できなくなっています。

 しかしシベリウスの生涯の大半において、カレリアはフィンランドの一地域であり、歴史的・文化的に重要な土地でした。1892年、新婚後間もなくカレリア地方を訪れたシベリウスは、この地方の文化や人々、民謡や伝説に、大いに魅せられます。
 翌1893年、シベリウスはヘルシンキ大学学生の団体から、野外歴史劇のための付随音楽を依頼されました。カレリア地方の13~19世紀までの歴史を7つの場面で描く劇でしたが、発表後の評判は悪く、シベリウスはこれを失敗作として廃棄しました。しかしこの時の音楽は、最終的に「序曲」op.10と、3曲から成る「組曲」op.11の2つの作品として遺されました。
 今日、「序曲」はそれほど演奏される機会はなく、下記3曲から成る「組曲」がよく演奏されます。
(1)間奏曲(Intermezzo)
(2)バラード(Ballade)
(3)行進曲風に(Alla Marcia)
 本日はこのうち、第3曲「行進曲風に」(Alla Marcia)をお送りします。劇の第5景・16世紀の場面の音楽で、2つの主題から成る軽妙な行進曲です。

 映像は、オーストラリア人の指揮者サー・チャールズ・マッケラス(Sir Charles Mackerass、1925-2010)の指揮による、ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団(Royal Philharmonic Orchestra)による演奏の録音です。

  

※今日の曲が気に入ったら投票!願います。
【おすすめCD】
 シベリウス:交響曲第2番(試聴可能)
 フィンランド放送交響楽団による演奏。シベリウス作品の中でも人気の高い「交響曲第2番」、組曲「カレリア」、交響詩「フィンランディア」の3曲を収録。
 シベリウス:作品集(試聴可能)
 ヘルシンキ放送交響楽団及びベルリン・フィルハーモニー管弦楽団による演奏の2枚組CD。シベリウスの有名作品である「交響曲第2番」「カレリア」「フィンランディア」「トゥオネラの白鳥」「バイオリン協奏曲」などを収録。
【おすすめ楽譜】
 No.307 シベリウス/組曲<カレリア> Op.11
 組曲「カレリア」の総譜(スコア)。

[PR]
by asapykadan | 2011-05-15 22:16 | 管弦楽曲
 オットリーノ・レスピーギ(Ottorino Respighi, 1879–1936)はイタリアの作曲家です。当初はバイオリン奏者や教育者として活動しましたが、後に作曲家に転向しました。
 近代イタリア音楽における器楽曲の開拓者として知られるほか、16世紀から18世紀の音楽に対する関心から、古楽に基づく作品も遺しています。

 とりわけレスピーギの作曲家としての名声を確立することになったのは、「ローマ三部作」と呼ばれる下記の3つの交響詩作品です。
・ローマの噴水(伊: Fontane di Roma)1916年作
・ローマの松(Pini di Roma)1924年作
・ローマの祭り(Feste Romane)1928年作

 本日はこのうち、「ローマの松」をご紹介します。
 この交響詩は下記の4つの曲から構成され、ローマの異なった場所・時における松の風景を、色彩的なオーケストレーションを用いて描いています。
1.ボルゲーゼ荘の松(l pini di Villa Borghese)
2.カタコンブ付近の松(Pini presso una catacomba) 
3.ジャニコロの松(l pini del Gianicolo)
4.アッピア街道の松(l pini della Via Appia)

 これらの曲は、単に松とか自然風景とかのみを描いているのではありません。何世紀にもわたってローマの風景に存在する樹木は、ローマの歴史やローマ人の生活の証人でもあります。つまり、松という自然存在を通してローマの歴史へ眼を向け、ローマの往時の幻影に迫ろうという意図があるのです。

 映像は、The London Festival Orchestraによる、第1曲「ボルゲーゼ荘の松」の演奏の模様です。
 ローマのボルゲーゼ公園(17世紀に枢機卿ボルゲーゼの別荘として造られた庭園)の松並木で遊ぶ子供たちの情景を描いた曲です。子供たちは踊ったり、兵隊になったり、追いかけあったり、さまざまな世界を飛び回ります。賑やかで派手な音楽が特徴的です。

 

※今日の曲が気に入ったら投票!願います。
【おすすめ!】
 レスピーギ:ローマの松(ローマ三部作)(試聴可能)
 リッカルド・ムーティ指揮、フィラデルフィア管弦楽団による演奏を収録したCD。
 レスピーギ/交響詩 ローマの松 (zen-on score)
 交響詩「ローマの松」のスコア(総譜)。

[PR]
by asapykadan | 2010-10-10 14:55 | 管弦楽曲
 パウル・ヒンデミット (Paul Hindemith, 1895-1963)は、20世紀ドイツを代表する音楽家の一人です。若い頃はバイオリンやビオラの演奏者として、フランクフルト歌劇場管弦楽団のコンサートマスターなどを務めました。作曲家としては、第一次大戦後の1920年代から、ロマン派からの脱却を目指して新即物主義・新古典派主義を推進し、同世代の音楽家たちに強い影響を与えました。生涯の作品は600曲以上に及び、歌劇や交響曲をはじめ、オーケストラを構成するほぼすべての楽器のためのソナタを作曲しています。

 本日は、彼の代表的な作品の一つである交響曲「画家マティス」(Mathis der Maler)をご紹介します。
 ヒンデミットは1934~35年にかけて、彼自身の台本による同名のオペラを作曲しました。全7場から成り、16世紀ドイツの画家マティアス・グリューネヴァルトを主人公とします。ドイツ農民戦争が勃発して騒然とする時代の中で、マティスは権力者のために絵を描くことをやめ、農民と共に戦う道を選びます。
 しかし時のナチス政権は、以前からヒンデミットの現代音楽を「退廃音楽」とみなしていた上、焚書の光景が挿入されるオペラの内容にも難色を示しました。そのため35年に予定されていたオペラの初演は上演中止に追い込まれます。

 交響曲は、オペラの初演が絶望的となってきた34年の春、ヒンデミットがオペラの完成をひとまず棚上げし、オペラの中からいくつかの場面の音楽を選んで、3つの楽章から成る交響曲に改編したものです。34年3月に、フルトヴェングラーの指揮によって電撃的に初演され、大成功を収めました。しかしこれによりナチス当局の干渉はより強まり、フルトヴェングラーはこれに強く抗議して、同年11月の「ヒンデミット事件」と呼ばれる事件へと発展しました。

 交響曲は、下記の全3楽章から成ります。マティスの代表作である「イーゼンハイム祭壇画」(アルザスの寒村イーゼンハイムの修道院のために描いた)の内容を表現しています。
第1楽章「天使の合奏」(Engelskonzert)
第2楽章「埋葬」(Grablegung)
第3楽章「聖アントニウスの誘惑」(Versuchung des heiligen Antonius)

 今日お送りする第1楽章「天使の合奏」は、オペラの前奏曲にあたる部分で、キリストの降誕を表現しています。「天使の楽器」トロンボーンによって、天上の天使の合唱が奏でられます。

 映像は、クラウディオ・アバド(Claudio Abbado)の指揮による、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(the Berlin Philharmoniker)の演奏の録音です。

 

※今日の曲が気に入ったら投票!願います。
【おすすめCD】
 ヒンデミット:交響曲「画家マティス」(試聴可能)
 ヘルベルト・ケーゲル指揮、ドレスデン・フィルハーモニー管弦楽団。
【おすすめ楽譜】
 Mathis Der Maler Symphonys.s.
 交響詩「画家マティス」のスコア(総譜)。

[PR]
by asapykadan | 2010-02-07 16:14 | 管弦楽曲
 マヌエル・デ・ファリャ(Manuel de Falla, 1876-1946)は スペインを代表する作曲家です。晩年はフランコ政権を避けてアルゼンチンに亡命し、同国にて没しました。
 主な作品はオペラ、劇付随音楽、バレエ音楽であり、多くの作品にスペイン民族音楽(特にアンダルシア地方のフラメンコ)の影響が色濃くみられます。

 本日は、彼の有名な作品の一つである、バレエ音楽「三角帽子」(El sombrero de tres picos)をご紹介します。
 ファリャは1917年に、スペインの文学者アラルコンの短編小説「三角帽子」に基づくパントマイム「代官と粉屋の女房」(El Corregidor y La Molinera)を書きました。これがバレエ・リュス(ロシア・バレエ団)の主宰者セルゲイ・ディアギレフの目に留まり、大規模なバレエ音楽への改作を依嘱されました。
 1919年に改作後、ロンドンで原作と同名のバレエ「三角帽子」として初演されました。指揮者はスイス・ロマンド管弦楽団の創設者として知られるエルネスト・アンセルメ(Ernest Ansermet, 1883-1969)、舞台・衣装デザインは画家パブロ・ピカソという豪華な顔ぶれにより、この作品は大成功を収めました。

 物語の舞台はスペイン南部アンダルシア地方です。町外れで水車小屋を営む粉屋の亭主は醜男だが愛嬌があり、女房は才色兼備で、夫婦仲も良好です。そこへ好色な代官が現れて粉屋の女房に言い寄りますが、数々のどたばたの末にみごと失敗し、一件落着となる滑稽話です。
 なお三角帽子とは、縁が三箇所巻き上がって3つのとんがりのある三角形の帽子です。17~8世紀にスペインの権力者が用いたもので、権力の象徴といえます。この物語においては代官が被っています。

 本日は、序奏付き全2幕の中から、「終幕の踊り」(Danza final)をお送りします。悪代官を凝らしめることができて喜ぶ粉屋夫婦と近所の人たちが踊る「ホタ」という舞曲で、喜劇のフィナーレを飾るにふさわしい華やかな舞踏音楽です。打楽器が多く用いられ、踊りを盛り上げます。

 映像はOrquestra Nord-hongaresa Miskolcによる「終幕の踊り」の演奏の模様です。

  

※今日の曲が気に入ったら投票!願います。
【おすすめ!】
 ファリャ:三角帽子/恋は魔術師(試聴可能)
 ファリャのバレエ音楽「三角帽子」「恋は魔術師」を全曲収録したCD。シャルル・デュトワ指揮、モントリオール交響楽団。 
 ファリャ: バレエ音楽 「三角帽子」/チェスター社全曲版中型スコア
 「三角帽子」全2幕のスコア(総譜)。

[PR]
by asapykadan | 2010-01-23 23:56 | 管弦楽曲
 喜歌劇(Operetta)とは、19世紀後半以降にウィーンを中心にドイツ語圏で発達した小オペラです。脚本は基本的には喜劇であり、軽妙なあらすじと歌のある娯楽的な作品がほとんどです。

 元日の今日は、その喜歌劇の代表作「こうもり」(Die Fledermaus)をご紹介します。
 生涯に多くのウィンナ・ワルツを作曲し、「ワルツ王」と呼ばれたヨハン・シュトラウス2世(Johann Strauß II, 1825-1899)によって1874年に作曲・初演されました。数あるオペレッタの中でも最高峰の作品とされ、ヨハン・シュトラウス2世特有の優雅で軽快なウィンナ・ワルツの旋律によって世界的に愛されている傑作です。
 大晦日の晩の出来事を題材にしているため、ウィーンをはじめドイツ語圏の歌劇場では大晦日恒例の出し物となっています。
(あらすじ)
 大都市近郊の温泉町で、ファルケ博士が金持ちの友人アイゼンシュタインをオルロフスキー公爵の夜会にうまく誘い出し、最後には一杯食わせて昔の悪戯(こうもり)の仕返しをする。
 「こうもり」は3年前の事件である。仮面舞踏会の帰り、アイゼンシュタインは酔いつぶれたファルケを森に置いて来てしまった。翌日、ファルケは舞踏会のこうもりの扮装のまま日中に帰宅する破目になり、近所の子どもから「こうもり博士」というあだ名をつけられてしまったのだった。
 詳細なあらすじ・登場人物等はこちら

 本日は、聴き所の多いこのオペレッタの中から「序曲」をお送りします。劇中に登場する旋律をつないだもので、独立して演奏される事も多い名曲です。

 下記映像は、演奏者は不明です。

 

※今日の曲が気に入ったら投票!願います。

【おすすめ!】
 ヨハン・シュトラウス2世「こうもり」/クライバー指揮 [DVD]
 「こうもり」全3幕のDVD。配役は人気歌手らによる。バイエルン国立歌劇場管弦楽団の演奏。
 美しく青きドナウ~ウィーン・フィル・シュトラウス・コンサート(試聴可能)
 3人の往年の名指揮者たちとウィーン・フィルの組み合わせによる、シュトラウス・ファミリーのウィンナ・ワルツ名曲を11曲収録。
 名序曲集(試聴可能)
 「カルメン」「セビリャの理髪師」「軽騎兵」など、有名オペラやオペレッタの序曲ばかり21曲収録した2枚組CD。「こうもり」はヘルベルト・フォン・カラヤン指揮によるベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏。
 ヨハン・シュトラウスII世 オペレッタ《こうもり》序曲 作品362 (オイレンブルク・スコア)
 「こうもり」序曲のスコア(総譜)。

[PR]
by asapykadan | 2010-01-01 13:52 | 管弦楽曲

威風堂々(エルガー)

 サー・エドワード・ウィリアム・エルガー(Sir Edward William Elgar、1857-1934)はイギリスの作曲家・指揮者です。楽器商の家に生まれましたが、裕福でなかったので専門の音楽教育を受けることができず、独学で作曲法を修得しました。名実共に英国楽壇の重鎮として活躍し、1924年(67歳)には「国王の音楽師範」の称号を得、1931年(74歳)には准男爵(Sir)に叙されました。

 本日は、彼の作品の中で最も有名な「威風堂々」(Pomp and Circumstance)作品39をお送りします。
 この作品は、管弦楽のための行進曲集です。第1~4番は1901年から1907年にかけて作曲され、第5番は晩年の1930年に作曲されました。元は第5番までの全5曲で構成されていましたが、21世紀初頭にアンソニー・ペインによって未完の第6番が補筆完成され、新たに加えられました。
 
 全5曲中最も有名なのは第1番で、特にその中間部の旋律が有名です。この旋律を国王エドワード7世が絶賛し、歌詞をつけるよう所望しました。エルガーは翌年、国王のための戴冠式頌歌(Coronation Ode)を作曲し、終曲「希望と栄光の国」(Land of Hope and Glory)にこの中間部の旋律を用いました。歌詞はイギリスの詩人アーサー・クリストファー・ベンソンの作。
Land of Hope and Glory,  希望と栄光の国
Mother of the Free,    其は自由の母よ
How shall we extol thee,  汝をいかに称えようか?
Who are born of thee?  汝より生まれたのは誰であろう?
Wider still and wider   広く、一層広く
Shall thy bounds be set;   汝の土地はなるべし
God, who made thee mighty,  神、汝を偉大たらしめし者
Make thee mightier yet    もっと、汝を偉大にせよ

 日本では単に「威風堂々」と言った場合、第1番全体あるいは上記の中間部旋律を指すことが多いですが、これは本来誤用です。「威風堂々」はあくまでも行進曲集全体に与えられた題名です。イギリスではこの旋律はもっぱら「希望と栄光の国」と呼ばれ、英国第2の国歌として親しまれています。

 映像は、英国のBBC交響楽団(The BBC Symphony Orchestra)及び同合唱団による第1番の演奏の録音です。有名な中間部旋律に上記の歌詞による合唱が付けられています。

  

※今日の曲が気に入ったら投票!願います。
【おすすめ!】
 威風堂々THE BEST OF EDWARD ELGAR(試聴可能)
 エルガーの代表作15曲を収録したCD。「威風堂々」第1番、「希望と栄光の国」の合唱、エルガーの出世作「エニグマ変奏曲」、妻キャロラインのために作曲した「愛の挨拶」など。ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団他演奏。
 OGTー233 エルガー 行進曲「威風堂々」第1番・第4番 作品39-1, 39-4(Ongaku no tomo miniature scores)
 「威風堂々」第1番&第4番のスコア(総譜)。

[PR]
by asapykadan | 2009-11-22 15:05 | 管弦楽曲