ブログ番組「クラシック名曲アルバム」

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2009年元日開局。Youtubeにあるクラシック音楽の動画・録音を紹介。1日1曲、短くて聴きやすい名曲をお楽しみ下さい。

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 フランツ・ヨーゼフ・ハイドン(Franz Joseph Haydn, 1732-1809)は、古典派を代表するオーストリアの作曲家です。たくさんの交響曲や弦楽四重奏曲を作曲し、「交響曲の父」「弦楽四重奏曲の父」と呼ばれています。
 弦楽四重奏曲第77番第2楽章にも用いられた皇帝讃歌「神よ、皇帝フランツを守り給え」の旋律が、現在ドイツの国歌として用いられていることはつとに有名です。

 彼の交響曲作品は100曲以上もありますが、本日は、最後の交響曲作品となった第104番ニ長調をご紹介します。
 ハイドンはバイオリン奏者ザロモンの招聘によって、1791年から1795年にかけて2度ロンドンを訪問しました。その際に作曲された12曲の交響曲(第93~104番)が「ロンドン交響曲」と総称されています。
 そのうち、この104番は1795年に作曲されました。この曲単独で「ロンドン」の愛称で呼ばれていますが、これは19世紀になってから付けられたものでハイドン自身の命名ではありません。内容的にも特にロンドンを描いたものではありません。しかし最後の交響曲作品にふさわしく、これまでの無数の試みを集大成したかのような充実した構成と豊かな楽想に溢れています。
 全4楽章から成り、演奏時間は約30分です。

 映像は、ウィーンフィルハーモニー管弦楽団による演奏の模様です。

 

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 ハイドン:作品集(試聴可能)
 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団による演奏。交響曲第104番「ロンドン」他、第94番「驚愕」、トランペット協奏曲など、ハイドンの有名作品を収録したCD。2枚組で1500円とお手頃価格。
 OGTー1804 ハイドン 交響曲第104番 ニ長調 Hob.I/104 《ロンドン》 (Philharmonia miniature scores)
 交響曲「ロンドン」の総譜(スコア)。

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by asapykadan | 2009-08-08 22:39 | 管弦楽曲

待ちぼうけ(山田耕筰)

 日露戦争以後、中国大陸の満洲(満“州”とも書く、現在の中国東北部)には多くの日本人が移住し、日本内地に準じた学校教育も行われました。
 しかし満洲の風土は、日本内地で編纂された「文部省唱歌」に歌われている日本の風土とはかけ離れていました。満州で育つ子供たちは、文部省唱歌に登場する「田んぼ」「田植え」「縁側」「梅雨」「村の鎮守」といった言葉に実感が持てませんでした。
 そこで、満州の風物を反映させた、格調の高い音楽教材をとの要望により、「満州唱歌」が編纂されました。

 本日は、そのうちの1曲「待ちぼうけ」をお送りします。
 この曲は、北原白秋作詞&山田耕筰作曲の名コンビによる歌曲の1つです。1924年に発行された『満州唱歌集 尋常科第一・二学年用』に「ペチカ」などとともに収録されました。
待ちぼうけ、待ちぼうけ
ある日せっせと野良稼ぎ そこに兔が飛んで出て
ころりころげた 木のねっこ

待ちぼうけ、待ちぼうけ
しめた。これから寝て待とうか 待てば獲物が驅けてくる
兔ぶつかれ、木のねっこ

待ちぼうけ、待ちぼうけ
昨日鍬(くわ)取り、畑仕事 今日は頬づゑ、日向ぼこ
うまい切り株、木のねっこ

待ちぼうけ、待ちぼうけ
今日は今日はで待ちぼうけ 明日は明日はで森のそと
兔待ち待ち、木のねっこ

待ちぼうけ、待ちぼうけ
もとは涼しい黍(きび)畑 いまは荒野の箒草(はうきぐさ)
寒い北風、木のねっこ

 このユニークな歌詞は、中国古典『韓非子』の説話「守株待兔」から録られたものです。
《あらすじ》
 宋の国に稲作をする農夫がいた。ある日、田んぼの隅にある切り株に、兎がたまたまぶつかって死んだ。思わぬ獲物にありついた農夫は、それに味をしめ、以後耕作をやめて、再び兎が来るのを待っていた。しかし兎は二度と来ず、耕作を放棄した田は荒れ果てた。

 ここから「古い習慣に固執し進歩がないこと、また、臨機応変の能力がないこと」を意味する「守株(しゅしゅ)」という成句が誕生しました。
 しかしこの歌が発表された当時は「改新」「改革」といった言葉を教育の場で強調する時代ではなかったため、本来の説話の教えとは違った「偶然の幸運を当てにして無為に過ごすな。楽をして金儲けをしようと思うな」という意味の歌として教えられました。
 後に内地にも紹介され、人々に愛唱されました。

 なお、元の説話では「田んぼ」であるところを、この歌詞は満州の風土に合わせて「きび畑」とされました。曲の前奏部分には、作曲者の山田耕筰が満州の大連で聞いた、街を走る馬車のチャルメラの旋律が使われています。歌詞も曲も、日本内地の風土とは違う、満州の異国情緒にあふれたものとして受け取られたのです。

 映像は、アルト歌手・小川明子さんによる歌唱です。

 

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 大正の終わりから昭和にかけて、北原白秋など内地の巨匠や、園山民平に代表される満州在住の音楽家によって作られた満州唱歌。こうりゃん、ペチカなど満州の匂いあふれる唱歌の源流を辿る。産経新聞で大好評を博した連載「わたしと満州唱歌」を大幅加筆した本。唱歌17曲を収録したCD付。

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by asapykadan | 2009-08-05 18:14 | 日本歌曲

最後の歌(トスティ)

 サー・フランチェスコ・パオロ・トスティ(Sir Francesco Paolo Tosti, 1846-1916)はイタリアの作曲家・声楽家です。ローマでサロン用歌曲の作曲家として人気を博した後、1880年からはロンドンに移住して英国王室の声楽教師となりました。英国臣民となり1908年にはナイトに叙せられたものの、晩年はイタリアに戻って故国で没しました。
 母語のイタリア語のみならず、英語やフランス語を原詩とする多くの歌曲の小品を作曲、その多くが今日でもリサイタル用ピースとして愛唱されています。

 本日は、彼の代表作の1つ「最後の歌」(L'ultima canzone)をお送りします。1905年に英国で出版されたイタリア語の歌曲で、嫁いでいく恋人への未練を歌っています。親しかった女友達リーナ・ジャケッティに捧げられました。
M'han detto che domani
Nina vi fate sposa,
Ed io vi canto ancor la serenata.
Là nei deserti piani
Là,ne la valle ombrosa,
Oh quante volte a voi l'ho ricantata!
 ニーナ、君は明日花嫁になるそうだね。
 でも僕はまだセレナーデを歌うんだ。
 人のない野原や草の茂った谷間で
 ああ君に何度歌ったことか!
Foglia di rosa
O fiore d'amaranto
Se ti fai sposa
Io ti sto sempre accanto。
 薔薇の葉よ、ああアマラントの花
 君が結婚してくれるなら
 僕はいつも傍にいるよ。
(以下原詞略)
 明日君は、賑々しさと微笑みと花々に囲まれるだろう
 君はぼくたちの昔の恋のことなんか思い出さないだろう
 でも 夜でも昼でも
 情熱にあふれた僕の歌が嘆きを届けるのだ

 ハッカの葉よ、ああザクロの花
 ニーナ、思い出しておくれ
 君にあげた口づけを!

 映像は1973年のもので、イタリアのテノール歌手フランコ・コレッリ(Franco Corelli, 1921-2003)による歌唱です。

 

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 ホセ・カレーラス、トスティに捧ぐ(試聴可能)
 世界三大テノールの一人、ホセ・カレーラス(Jose Carreras、1946-)によるトスティ歌曲のCD。「最後の歌」「理想の人」など19曲。1050円とお手頃価格。
 松本美和子紫綬褒章授賞記念特別企画 トスティ歌曲集大成(試聴可能)
 イタリア歌曲を得意とする声楽家、松本美和子の紫綬褒章受章記念特別企画5枚組アルバム。トスティの楽曲を中心に「最後の歌」「薔薇」「夢」「四月」「いとしい女よ、私は死にたい」他、全99曲を収録。
【おすすめ楽譜】
 トスティ歌曲集(1)
 「最後の歌」ほか、「四月」「私は死にたい」「夢」など、トスティの代表的な作品を収録した楽譜。畑中良輔による編集。

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by asapykadan | 2009-08-01 10:40 | イタリア歌曲