「抒情小曲集」より“トロルドハウゲンの婚礼の日”(グリーグ)
しかしグリーグの本領が最も発揮されているのは、ピアノのために作曲した幾多の小品群です。「北欧のショパン」「ノルウェーのショパン」と呼ばれるほどに、詩情に溢れた感性の細やかな作品を書きました。
その代表的なものが、ピアノ曲集「抒情小曲集」(Lyriske småstykker)です。1867~1903年の間に作曲され、全10集・66曲から成ります。
各集・各曲に有機的関連はなく、気の向くままに書き留めて一まとめにされています。従ってピアニストが演奏会のプログラムを組み立てる際には、「第○集」といったようにセットで取り上げることは少なく、自由に好きな曲を抜粋して組み合わせることがほとんどです。
全ての曲にタイトルがつけられていて、それらは「ワルツ」など曲の形式を示すもの、「感謝」「悲歌(エレジー) 」といった概念を示すもの、あるいは特定の情景や風物を指したものなど、バラエティに富んでいます。
本日は、第8集の第6曲「トロルドハウゲンの婚礼の日」(Wedding Day At Troldhaugen)をお送りします。「トロルドハウゲン」は、ノルウェー西部の港町ベルゲンの郊外にある、入り組んだ湾に面した美しい田園地帯です。グリーグは1885年42歳の時、ここに一軒の家を建て、以後毎夏訪れて静かに作曲に専念しました。
ここでの素朴な婚礼の模様を絵画のように表現したのがこの曲で、全66曲のうち最も大規模で人気があります。
映像は、ノルウェーの実力派ピアニスト、レイフ・オヴェ・アンスネス(Leif Ove Andsnes, 1970-)による演奏の録音です。
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標準版グリーグ 抒情小曲集 1(楽譜)
第1~5集の楽譜。
標準版グリーグ抒情小曲集 2(楽譜)
第6~10集の楽譜。「トロルドハウゲンの婚礼の日」も収録。