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ブログ番組「クラシック名曲アルバム」

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2009年元日開局。Youtubeにあるクラシック音楽の動画・録音を紹介。1日1曲、短くて聴きやすい名曲をお楽しみ下さい。

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歌曲集「冬の旅」より“おやすみ”(シューベルト)

 「冬の旅」(Winterreise)D911, Op.89は、オーストリアの“歌曲王”フランツ・シューベルト(Franz Schubert, 1797-1828)が31歳で世を去る前の年、1827年に作曲した連作歌曲集です。歌詞はドイツの詩人ヴィルヘルム・ミュラーの詩集によるもので、全2部計24曲で構成されています。
 全曲を通じて歌われているのは、失恋して絶望した若者が、あてもなく続けるさすらいの旅において出会う、凍てついた冬の荒涼たる心象風景です。

 2009年2月28日記事では、第2部冒頭の曲「郵便馬車」(Die Post)をご紹介しました。本日は、第1部冒頭の曲「おやすみ」(Gute Nacht)をお送りします。
 「冬の旅」の物語が、出会いでなく別離から始まります。失恋した若者は、冬の夜、恋人の住む町から去っていきます。恋人の家の扉に「おやすみ」と書き残し、旅に出ます。
Fremd bin ich eingezogen,   よそ者として私はやってきて 
Fremd zieh' ich wieder aus.   よそ者として私はまた出て行く
Der Mai war mir gewogen    五月は私に好意を寄せた
Mit manchem Blumenstrauß.  たくさんの花束で
Das Mädchen sprach von Liebe,  あの娘は愛を語り
Die Mutter gar von Eh', -     娘の母は結婚のことさえ口にした
Nun ist die Welt so trübe,     今この世はこんなにうら悲しく
Der Weg gehüllt in Schnee・・・.  道は雪に覆われている

(以下原詞略)
 私は自分の旅立ちの
 時期など選んでいられない
 自分で道を探して行かねばならない
 こんな暗闇の中を
 月影が付き添う
 私の道連れとして
 そして白い野原の上に
 私は獣の足跡を追う

 何で私は長々留まることがあろう
 人が私を追い立てるまで?
 狂った犬どもは吠えさせたらいい
 飼い主の家の前で、
 愛は移ろいが好き
 神がそう創られたのだ
 ある人から他の人へと
 愛しい人よ、おやすみ!

 お前の夢を乱したくない
 お前の安息を妨げたら悪いから
 お前に私の足音が聞こえないように
 そっと、そっと、戸を閉めよう!
 通りがかりに書き付ける
 お前の戸口に「おやすみ」と
 お前に分かるように
 私がお前のことを思っていたことが

 映像は、録音史上最も傑出した歌手とされるドイツのバリトン歌手、ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ (Dietrich Fischer-Dieskau, 1925-)による歌唱の録音です。

 
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 シューベルト:歌曲集《冬の旅》(試聴可能)
 ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウによる「冬の旅」全曲録音を収録したCD。
 ベーレンライター原典版 シューベルト歌曲集(2)冬の旅 高声用(原調) (シュ-ベルト歌曲集)
 「冬の旅」全曲収録の楽譜。

by asapykadan | 2009-11-21 21:32 | ドイツ歌曲

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