歌劇「ワリー」より“さようなら、ふるさとの家よ”(カタラーニ)
今日なお知られている彼の作品に、オペラ「ワリー」(La Wally)があります。死の前年、1892年にイタリア・ミラノで初演されました。1800年頃のチロル地方を舞台とする、全4幕の恋愛悲劇オペラです。富裕な地主の娘ワリーは、狩人ハーゲンバッハに惹かれますが、父親はワリーを執事ゲルナーと結婚させようとします。ワリーはハーゲンバッハと激しく愛し合いますが、二人とも雪の山道で非業の死を遂げます。
本日は、このオペラの最も有名なアリア「さようなら、ふるさとの家よ」(Ebben? Ne andrò lontana)をお送りします。第1幕において、愛する人と一緒になるために家を出る決意をしたワリーが歌うアリアです。情緒的旋律で大変人気があり、ソプラノ歌手によって単独で歌われることの多い曲です。曲名は知らなくても、どこかで聴いたことがあるでしょう。
Ebben・・・? それなら・・・?
Ne andrò lontana, 私はここから遠いところに行きましょう
come va l'echo della pia campagna, 聖なる鐘のこだまがあの白い雪の間に
là, fra la neve Bianca, あの黄金色の雲の間に
là, fra le nubi d'or, 流れていくように。
laddove la speranza, そこでは、希望も
è rimpianto, è dolor! 嘆きとも苦しみともなるでしょう!
O della madre mia casa gioconda, 楽しかった母の家よ、
la Wally ne anrdà da te lontana assai, ワリーはお前から離れて遠くに行くでしょう
e forse a te non farà, そしてきっと、二度とお前のもとに
mai più ritorno, 帰ってくることはないでしょう。
ne più la rivedrai! お前も二度と私の姿を見ることはないでしょう
Mai più, mai più! 決してないでしょう、決してないでしょう!
Ne andrò sola e lontana, 私はたった一人で、ここから遠いところに行きましょう
come l'eco della pia campagna... 聖なる鐘のこだまが
là, fra la neve bianca; あの白い雪の間に流れていくように
Ne andrò solae lontana, ここから遠いところに、たった一人で行きましょう
E fra le nubi d'or・・・! あの黄金色の雲の間に・・・!
映像は、20世紀最高のソプラノ歌手と言われたマリア・カラス(Maria Callas、1923-1977)による歌唱の録音です。(0:46前後からお聞き下さい)
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【おすすめCD】
カタラーニ:ワリー 全曲(試聴可能)
モンテ・カルロ国立歌劇場管弦楽団による全曲演奏のCD。この歌劇の代表的な録音。「さようなら、ふるさとの家よ」の歌唱は、20世紀後半のイタリアオペラを代表するソプラノ歌手レナータ・テバルディ(1922-2004)による。
ベスト・マリア・カラス100
マリア・カラスのオペラの名唱を100曲収録。「さようなら、故郷の家よ」ほか、「連隊の娘」「蝶々夫人」など。
ソプラノ・アリア名曲集
レナータ・テバルディによる、有名オペラアリア全27曲の歌唱を収録。「さようなら、故郷の家よ」ほか、プッチーニの「蝶々夫人」より“ある晴れた日に” など。
【おすすめ楽譜】
Anthology of Italian Opera
ソプラノ用のイタリアオペラ曲集。「ワリー」の“さようなら、ふるさとの家よ”ほか、「ジュリアス・シーザー」の“この胸に息のある限り”、「蝶々夫人」の“ある晴れた日に”など有名なアリアを収録。