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ブログ番組「クラシック名曲アルバム」

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2009年元日開局。Youtubeにあるクラシック音楽の動画・録音を紹介。1日1曲、短くて聴きやすい名曲をお楽しみ下さい。

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交響曲「画家マティス」~第1楽章“天使の合奏”(ヒンデミット)

 パウル・ヒンデミット (Paul Hindemith, 1895-1963)は、20世紀ドイツを代表する音楽家の一人です。若い頃はバイオリンやビオラの演奏者として、フランクフルト歌劇場管弦楽団のコンサートマスターなどを務めました。作曲家としては、第一次大戦後の1920年代から、ロマン派からの脱却を目指して新即物主義・新古典派主義を推進し、同世代の音楽家たちに強い影響を与えました。生涯の作品は600曲以上に及び、歌劇や交響曲をはじめ、オーケストラを構成するほぼすべての楽器のためのソナタを作曲しています。

 本日は、彼の代表的な作品の一つである交響曲「画家マティス」(Mathis der Maler)をご紹介します。
 ヒンデミットは1934~35年にかけて、彼自身の台本による同名のオペラを作曲しました。全7場から成り、16世紀ドイツの画家マティアス・グリューネヴァルトを主人公とします。ドイツ農民戦争が勃発して騒然とする時代の中で、マティスは権力者のために絵を描くことをやめ、農民と共に戦う道を選びます。
 しかし時のナチス政権は、以前からヒンデミットの現代音楽を「退廃音楽」とみなしていた上、焚書の光景が挿入されるオペラの内容にも難色を示しました。そのため35年に予定されていたオペラの初演は上演中止に追い込まれます。

 交響曲は、オペラの初演が絶望的となってきた34年の春、ヒンデミットがオペラの完成をひとまず棚上げし、オペラの中からいくつかの場面の音楽を選んで、3つの楽章から成る交響曲に改編したものです。34年3月に、フルトヴェングラーの指揮によって電撃的に初演され、大成功を収めました。しかしこれによりナチス当局の干渉はより強まり、フルトヴェングラーはこれに強く抗議して、同年11月の「ヒンデミット事件」と呼ばれる事件へと発展しました。

 交響曲は、下記の全3楽章から成ります。マティスの代表作である「イーゼンハイム祭壇画」(アルザスの寒村イーゼンハイムの修道院のために描いた)の内容を表現しています。
第1楽章「天使の合奏」(Engelskonzert)
第2楽章「埋葬」(Grablegung)
第3楽章「聖アントニウスの誘惑」(Versuchung des heiligen Antonius)

 今日お送りする第1楽章「天使の合奏」は、オペラの前奏曲にあたる部分で、キリストの降誕を表現しています。「天使の楽器」トロンボーンによって、天上の天使の合唱が奏でられます。

 映像は、クラウディオ・アバド(Claudio Abbado)の指揮による、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(the Berlin Philharmoniker)の演奏の録音です。

 

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【おすすめCD】
 ヒンデミット:交響曲「画家マティス」(試聴可能)
 ヘルベルト・ケーゲル指揮、ドレスデン・フィルハーモニー管弦楽団。
【おすすめ楽譜】
 Mathis Der Maler Symphonys.s.
 交響詩「画家マティス」のスコア(総譜)。

by asapykadan | 2010-02-07 16:14 | 管弦楽曲

by asapykadan