美しく青きドナウ(ヨハン・シュトラウス2世)
本日は、彼の代表的なワルツ作品である「美しく青きドナウ」(An der schönen blauen Donau)をお送りします。
1866年、オーストリアとプロイセンの間に「普墺戦争」が起こり、オーストリアは大敗し、領土の一部割譲を余儀なくされました(この結果、ドイツ統一はオーストリアを除外してプロイセンを中心に進められることとなります)。
負傷者を大勢乗せて帰ってくる軍用列車が到着する度に、ウィーン市民は失望の底に沈みました。そのようなウィーン市民を慰めるべく、この曲が作曲されました。
当初は合唱曲として作曲されましたが、1867年2月の初演では不評に終わりました。半年後、パリ万国博に招かれたシュトラウスはこれを管弦楽曲に編曲して再演、大好評を博しました。この曲とともに、あたかもドナウ川の豊かな流れのように、ウィーンには陽気が戻ってきました。
このようないきさつから、この曲はオーストリアの第二の国歌とまで呼ばれています。非常に有名で人気が高く、ワルツの代名詞的な曲として広く親しまれています。
曲は弦楽器のトレモロに乗ってホルンが静かに主題旋律を奏し、ドナウ川の源流(ドナウエッシンゲンにある「ドナウの泉」)と黒い森の情景が描かれます。次第にワルツに発展し、有名な主題部となります。演奏時間は約10分です。
映像は、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の2011年ニュー・イヤー・コンサートにおける演奏です。指揮者はオーストリア人のフランツ・ウェルザー=メスト(Franz Welser-Möst, 1960- )。
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MP3ダウンロード。スロヴァキア放送交響楽団による演奏。
OGTー49 ヨハン・シュトラウス 円舞曲「美しく青きドナウ」
「美しく青きドナウ」の総譜(スコア)。堀内敬三解説。